おうちでおたる | 2020.04.29

小樽百景~小樽の菓子史

小樽市総合博物館Facebookより

小樽の菓子史

特別な行事で使われるお菓子で、今の小樽では見られなくなった「鯨餅(くじらもち)」をご紹介します。

鯨餅とは      

鯨餅は米粉でつくった白色と昆布で着色した黒色の生地を重ねて、鯨の肉を模した外郎(ういろう)のようなものです。大きくて力強い鯨は縁起物として好まれ、ニシン漁がおこなわれた地域では、ニシンを浜に追い込むありがたい存在ともいわれました。

小樽における鯨餅  

このお菓子は江戸時代につくられ、遅くとも明治初期には、小樽でも食べられた記録が残っています。小樽郡教育所の初代教授 鵙目貫一郎の日記には、法事(明治5年)や、年明けの稽古始めの食事会(明治7年)で用意されたと書かれています。

『鵙目日記』明治7年稽古始め
鵙目寛一郎は小樽教育所(両得小学校の前身)初代校長

また、花園町にあった旧吉乃屋(明治18年~平成18年)の3代目刀禰武夫氏が、大正8年に菓子のつくり方をまとめた資料にも記載されています。

大正8年製菓控(旧吉乃屋)

日本各地の鯨餅   

広島県の「鯨羊羹」。羊羹という名前であるが、米粉を蒸した、ねっとりとした食感。黒の部分は昆布を煉りこんでいる。

現在、鯨餅(鯨羊羹という地域もある)が作られているのは、宮崎県、広島県(尾道市)、石川県(金沢市)、山形県(最上地方)、青森県、北海道(函館市)などです。

山形県の「鯨餅」
青森県の「鯨餅」
函館の「鯨餅」

白と黒2色のつくり方から変化したものもありますが、鯨をイメージした菓子として受け継がれています。 明治以降、小樽でよく食べられていた時期がありながら、現在は作られていないお菓子は、他にもあります。現在、お菓子は小樽の魅力の一つとなっています。鯨餅のような、かつての名物が、新しいお菓子を考える時の参考になればと思っています。

小樽市総合博物館

1956年創立。小樽の歴史と自然を紹介する運河館、鉄道と科学を紹介する本館があります。様々な企画展や講座、蒸気機関車の動態保存などの体験もできます。   【小樽市総合博物館】 ▶本館 047-0041 北海道小樽市手宮1-3-6 電話 0134-33-2523 ▶運河館 047-0031 北海道小樽市色内2-1-20 電話 0134-22-1258  ■HP→https://www.city.otaru.lg.jp/simin/sisetu/museum/ ■FB→https://www.facebook.com/otaru.museum/ ■mail→museum@city.otaru.lg.jp

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