一等客車「い1号」
当館で保存している一等客車「い1号」は、明治25(1892)年に、幌内鉄道を継承した北海道炭礦鉄道の手宮工場、つまりこの博物館の場所で製作され、保存されています。もっとも、台車部分はアメリカからの輸入で、客室部分のみの製作でした。
この客車も、流転の日々を送った時期があります。製作時の資料では「貴賓車」として扱われ、明治42(1909)年には、北海道を訪れた、当時の韓国皇太子の専用車にもなっています。
定山渓へ
しかし、その後一等客車から二等客車に格下げ、さらに昭和3(1928)年に定山渓鉄道に払い下げられます。この当時、定山渓温泉は道内外の観光客に人気が出てきた時代で、湯治客を中心に第二の人生で活躍していましたが、昭和30年ころから使用されず、豊平駅の片隅に放置されてしまいます。
再び小樽へ
昭和38(1963)年に、国鉄に寄付する形で戻され、整備ののち、現在の博物館本館の場所に出来た国鉄の「北海道鉄道記念館」に保存・展示され、現在に至ります。