ナツツバキ
小樽市総合博物館本館の機関車庫三号の向かって右手、北海道では目にする機会が多くないナツツバキの木が植えられています。毎年7月に大きな白い花がたくさん咲きますが、足をとめる人は少ないようです。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす」
平家物語の有名な一節ですが、釈迦の臨終を看取ったと伝えられる「沙羅双樹」の代用品として、江戸時代中頃から寺院などに盛んに植えられてきたのがナツツバキの木です。本来のサラソウジュ(Shorea robusta)はインドなどに自生する植物で日本ではほとんど見られませんが、代わりにナツツバキ(シャラノキ)が日本では沙羅双樹と同一視されてきました。
ナツツバキの花は朝に開花し、夕方には落ちてしまう一日花です。たくさんの花がみずみずしいまま地面に落ちていく様子は、「諸行無常」の世界観と重なる光景に思えます。
意外な場所で見られる「沙羅双樹の花」、是非一度ご覧になってください