クリスマスと教会
クリスマスケーキの予約のチラシが目に付く季節となりました。このごろはあまり取り糺されることもないのですが、「クリスマス」は本来キリスト教の宗教行事です。ただ、以前紹介したように昭和10(1935)年には市内のホテルでクリスマスパーティーが大々的に催されていて、遅くともこの段階では、年末のイベントとして浸透していました。
小樽で最初のクリスマス
では、小樽で最初のクリスマスはいつごろ行われていたのでしょうか?
現在、小樽市内の歴史的建造物に指定されているキリスト教会は小樽聖公会(イギリス国教会系)、カトリック小樽教会富岡聖堂(「富岡教会」)、小樽公園通教会(プロテスタント系)があり古くから布教が行われていたことがわかります。
さらに市内には東方教会系(いわゆる「ロシア正教」系)の教会もあります。礼拝堂の建設でいえば、明治19(1886)年設立の美以教会(メソジスト教会、現在のキリスト教団小樽教会の前身)なのですが、布教活動はそれ以前から行われており、例えばカトリック教会では明治15(1882)年に永井町の民家で布教を開始していますので、明治15年、つまり141年前の冬に小樽でクリスマスが祝われていたと推測できます。
戦前の教会
ところで、当館の2万枚の写真資料の中で、戦前の教会を撮影したものがあまり含まれていません。先日、小樽税務署の新築記念絵葉書の隅に「富岡教会」が写り込んでいることを見つけました。
「富岡教会」の竣工が昭和4(1929)年6月、税務署が同じ年の11月ですので、ほぼ完成直後の「富岡教会」の姿です。
そのほかの教会は被写体となることは少なく、例えば聖公会は、大正時代に撮影された水天宮石段の前の子供たち写真の左上にわずかにひさしが見える程度です。
その中で公園通りに面していた、小樽組合教会(現 公園通教会)は尖塔が写り込むことが多く、十枚程度みつかりました。
キリスト教ではアドベント(待降節)という期間に入ると、礼拝堂の前に飾り付けが行われます。港町、小樽の歴史の一面でもある、教会のある景色を楽しむには、一番ふさわしい季節なのかもしれません。