おうちでおたる | 2020.06.01

小樽百景~デパートがあった頃

小樽市総合博物館Facebookより

デパートがあった頃

前回に引き続き、浅草通りと稲穂町大通りの交差点付近の写真をご紹介します。

「繁栄を極むる稲穂町第一大通り十字街」

今回は、小樽の皆さんよくご存じの大国屋さんの写真です。どこがポイントかというと、この写真、大国屋さんを俯瞰して撮影しているところです。つまり、大国屋さんより高い場所で撮影したということですが、すでにお分かりの方もいらっしゃるでしょう。

そうです。この写真は丸井さんの屋上付近から大国屋さんを撮影していて、このアングルのものは当館では初めて収集しました。

裏側の通信欄には昭和12(1937)年の消印が押されていて、昭和前期の光景であると判明しています。画面手前右側が前回紹介したサッポロビアホールで、足場が組まれていますが、改装工事中でしょうか。おもしろいのは向かい(おそらく藤本土産物店)の店先に「キリンビール」ののぼりがあることです。「ビール戦争」はまだ継続中だったようです。

大国屋さんの通りを挟んだ右側の四角い建物は北門銀行小樽支店、のちに拓銀と合併し、現在も北洋銀行が建っています。

この写真で確認できる、唯一の現存建物は画面左下の屋根が写っている倉庫です。これは明治40(1907)年建設の「向井呉服店支店倉庫」で、木骨レンガ造の小樽では珍しいものです。

旧向井呉服店支店倉庫

大国屋「小樽支店」?  

『大日本職業別案内図 小樽』大正14(1925)より

さて地図の中で「大国屋小樽支店」となっている点にお気づきでしょうか?ここが支店であれば本店はどこにあったのでしょうか。

大国屋さんの創業は古く、嘉永6(1853)年に越中国砺波郡で京坂屋(金栄)善九郎によって開かれた「京善屋」がルーツとされています。明治40(1907)年になり小樽に進出し、この場所に支店を開きます。写真のコンクリートのビルは昭和9(1934)年に建設されています。そして本社となるのは戦後、昭和24(1949)年のことです。 ちなみに丸井さんの創業者、今井藤七は越後、三条の出身、もう一つのデパート「ニューギンザ」の創業者の宮本常吉も富山にルーツを持っています。かつて小樽に3軒あったデパートはすべて北陸にゆかりのあるものでした。

小樽市総合博物館

1956年創立。小樽の歴史と自然を紹介する運河館、鉄道と科学を紹介する本館があります。様々な企画展や講座、蒸気機関車の動態保存などの体験もできます。   【小樽市総合博物館】 ▶本館 047-0041 北海道小樽市手宮1-3-6 電話 0134-33-2523 ▶運河館 047-0031 北海道小樽市色内2-1-20 電話 0134-22-1258  ■HP→https://www.city.otaru.lg.jp/simin/sisetu/museum/ ■FB→https://www.facebook.com/otaru.museum/ ■mail→museum@city.otaru.lg.jp

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