おうちでおたる | 2023.09.20

小樽百景~石山付近の埠頭計画

小樽市総合博物館Facebookより

石山付近の埠頭計画

今回は写真ではなく青焼きの図面のご紹介で、多少見づらいかと思いますがご容赦ください。

以前の「小樽百景」で、小樽港修築計画の中で荷役作業の効率化と用地確保のための埋立工事についてご紹介してきました。その中で、いったんは「埠頭方式」で国の許可をもらいながらも、資金面で着工が遅れていったことも述べました。ではこの段階で、どこに埠頭を作り、今の「運河」周辺はどのような姿になっていったはずなのでしょうか。

小樽港修築説明書  

今回の図は、区会議員であった奥山富作が所蔵していたもので、製作年は不明ですが、図中に「炭礦鉄道」の文字が見えますので、国有化以前のもので、さらに内容的にも明治36(1903)年に国に提出した「小樽港修築説明書(以下「説明書」)」の一部ではないかと考えています。

埠頭計画  

埠頭は石山付近に建設予定でした。「説明書」には「埠頭ハ字石山前埋立地先ニ於テ一条ヲ築キ総幅弐首拾尺(約64m)、両側岩壁長各五百尺(約150m)ヲ有シ其水深ハ終端ヨリ四百尺(約120m)」と当時国内最大級の6000トンの船が両側に停泊できる設計となっていました。昭和22(1947)年完成の第3号埠頭(12番)の長さ128mと比べても、かなり大規模なものでした。

埠頭の上には炭礦鉄道に接続する引込線が二条敷設され、そこには「鉄道吹貫上屋」と道路を設け、貨物輸送の弁を図ると計画されています。また、「石山前ニ於テ貨物停車場ヲ設クルモノニシテ」とあり、のちに手宮駅(旅客用)の移転する現在のGAJA付近に貨物駅を設ける計画まで書かれています。

船入場  

この「説明書」では埠頭と並んで重要な設備として「船入場」があげられ、一つは現在のDCMホーマック付近にあった専用舟入澗をそのまま海側にせり出す形で拡充し、もう一つは運河館前にあった舟入澗を「応急設備」として簡易なものにして作るという計画になっています。

「説明書」では、この石山の埠頭を合わせ、全部で7本の埠頭を計画していました。この大規模な港湾の改変工事には、工事中の港の機能低下などの問題を含んでおり、これがこの後の廣井勇の書簡へとつながっていきます。

小樽市総合博物館

1956年創立。小樽の歴史と自然を紹介する運河館、鉄道と科学を紹介する本館があります。様々な企画展や講座、蒸気機関車の動態保存などの体験もできます。   【小樽市総合博物館】 ▶本館 047-0041 北海道小樽市手宮1-3-6 電話 0134-33-2523 ▶運河館 047-0031 北海道小樽市色内2-1-20 電話 0134-22-1258  ■HP→https://www.city.otaru.lg.jp/simin/sisetu/museum/ ■FB→https://www.facebook.com/otaru.museum/ ■mail→museum@city.otaru.lg.jp

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