小樽の鳥観図
吉田初三郎は独特の手法で色鮮やかな鳥観図を描き、特に鉄道路線図や各地の観光案内図で人気を集め、「大正の広重」と言われた人物です。
北日本一の経済都市であった小樽も昭和6(1931)年、昭和11(1936)年、戦後、昭和26(1951)年にも出版し、さらに昭和11年版は二種類あるため、計4枚描いたことになります。
昭和6年版
運河館第一展示室には昭和6年版を拡大して展示しています。
昭和11年版
次に、昭和11年版の小樽の鳥観図をみてみましょう。
鳥観図の構図は昭和6年版と大きく変わったところはないのですが、小樽港中央に建設中の埠頭が3基、同じく小樽築港駅付近の埋め立て地に「トランスポーター」の文字とクレーンのようなものが描かれています。また、オタモイには昭和6年版は地蔵尊の文字しかないのですが、昭和11年版は竜宮閣と思われる中国風の建物が描かれています。
昭和11年版の小樽を描いた鳥観図は、繁栄期の最後の姿を象徴的に描いたものです。