祝津の太子講
これは高島郡祝津村(現在の小樽市祝津)における太子講の資料です。
講とは
講とは、宗教・経済等様々な目的の下に人々が集まった集団を指します。
・宗教的結束や社寺への代参の為の組織(信仰・宗教講)
・構成員全員で金品を分配したり共同作業などでの労力の貸借を融通する互助組織(経済講)
・同業者による様々な取決めや差配をする同業組合(職人講)
などと大別されますが、実際は様々な目的が合体していることが多いものです。
太子講とは
そのうち太子講とは、聖徳太子(厩戸皇子・厩戸王)を奉賛する民間信仰の一つの形態です。時代や場所によって様々に信仰される特徴があり
・太子が仏法をもたらした恩徳を奉賛する宗教講
・太子は観音菩薩の化身と見て奉賛する宗教講
・太子が法隆寺・四天王寺等の寺院を建立したことや建築技術に関わったとされることから、建築・木工関係の職能神として崇拝する職人講
等々多種多様な形態をもちます。
祝津の太子講
写真のように構成員同士のルールや仕事の請負価格を決めていることから、祝津の太子講は職業的なものだったと見て取れます(更に見ていけば別の顔が見えるかも知れません)。
このような民間信仰の多くは、構成員の高年齢化などで存続が危ぶまれているものも多く、史料として残るものも少ないことから後追いが難しい貴重な文化とも言えます。しかしまた時勢で消えるのも、歴史や文化の味の一つとも思うこの頃です。