旅出中諸用記
最近収蔵庫から掘り出した資料を紹介します。
資料のタイトルは「旅出中諸用記」です。一言で言えば「旅行中の日記」です。
もっとも、その中身は江戸時代に多く作成された日記類に似て、旅行中の支出などの記録が中心です。資料の作成年代は明治36(1893)年、作者は倉内仁吉氏(倉内酒造)です。
今回の資料のポイントは、「明治の小樽から」東京・大阪へ旅行した日記であることです。管見の限り、明治ころの小樽在住者が本州へ行く旅日記は他にあまり見られません。当時の小樽の人が、小樽からどこをどう移動したのかという足取りが辿れる面白い資料です。
旅行ルートは?目的は?
ちなみに、現在解読が済んだ部分では、
1893年6月8日 小樽発===(船)===横浜
6月13日 横浜===(汽車)===東京(新橋)
~2日間浅草や成田山(新勝寺)を見物~
6月15日 東京(新橋)===(汽車・名古屋経由)===伊勢
伊勢===(汽車・奈良経由)===6月20日ころ大阪着
といったルートまで分かっています。
この後は大阪に数か月滞在したようですが、この部分はまだ解読中です。
なお、旅行の目的や日記を作成した経緯が明記された部分は今のところ見つかっていません。(お店に関係する旅行で備忘録として作成した日記ということが想定できそうですが)小樽へ小包などを送っている様子も見受けられ、旅先での暮らしぶりなどを紐解いてみるのも面白そうな資料です。