ウミネコ
中型のカモメの一種、ウミネコは港町小樽のシンボルの一つと言えますが、実は、一年中見られる鳥ではありません。ウミネコは厳冬期、越冬のため温暖な地域へ移動し、小樽では一時姿が見られなくなります。そして2月下旬から3月上旬、再び小樽に帰ってきます。この頃、小樽運河や各地の漁港では、群れで移動してきたウミネコでいっぱいの光景を目にすることがあります。
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小樽に春を告げる鳥
博物館のある小樽運河周辺では毎年3月1週目頃に最初のウミネコの姿が見られるようになります。ウミネコの鳴き声がどこからともなく聞こえるようになる頃、小樽の市街地では一気に雪解けが進み、春の近づきを実感できるようになります。小樽では、ウミネコは嬉しい春の訪れを知らせる「春告鳥」とも言える存在なのです。
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歌謡曲「石狩挽歌」は「海猫(ごめ)が鳴くからニシンが来ると 赤い筒袖(つっぽ)のやん衆がさわぐ」という歌い出しで始まります。ニシンが沿岸に来集する時期とウミネコの帰還の時期とは一致しているので、漁師たちは実際にウミネコの姿からニシンの到来を予見していたのかもしれません。石狩湾の春の情景をかなり正確に描写した歌詞だと私は感じます。
小樽に「春」を告げてきたウミネコですが、最近は真冬にもその姿を見かけるようになってきています。移動しないウミネコが増加している原因はいろいろと想像されますが、詳しい調査・検証は行われていません。もしかしたら、ウミネコたちの姿はいずれ春の風物詩とは言えなくなってしまうのかもしれません。
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