サクラ
「サクラ」はバラ科サクラ属の落葉広葉樹で、日本に10種の野生種が自生します。また野生種を元に数百の栽培品種が生み出されています。小樽のお花見で楽しまれるサクラの多くは、栽培品種のソメイヨシノと野生種のエゾヤマザクラ(オオヤマザクラ)です。
ソメイヨシノ
ソメイヨシノは野生種のエドヒガンとオオシマザクラを交配して江戸時代に作られた栽培品種です。全国各地にあるソメイヨシノは全て、1本の木から接ぎ木や挿し木によって広まったクローン(遺伝的に同一な個体)であることが明らかになっています。クローンなので、同じ気候条件の元では花期が一律になり、地域ごとに一斉に開花が始まります。
エゾヤマザクラ
エゾヤマザクラは公園や庭園にも多く植栽されていますが、本来は野山に自生するサクラです。新緑の頃、遠くの山を眺めると所々にピンク色の彩りを見つけることができます。それらの多くは人の手で植えられたものではなく、森の樹木の一つとして自然に生育しているものです。
サトザクラ
多くの品種があるサトザクラ(八重桜)もよく植栽され、ソメイヨシノやエゾヤマザクラに少し遅れて見頃を迎えます。サトザクラはオオシマザクラを母種とする栽培品種の総称で、数百もの品種があり、小樽では紅色の関山(かんざん)という品種が一般的なようです。小樽公園には黄緑色の花の御衣黄(ぎょいこう)なども植えられています。
タカネザクラ
また初夏(5月下旬から6月上旬頃)の野山では、野生種のタカネザクラやミヤマザクラ、カスミザクラが見られます。登山の途中、標高の高い場所で不意に季節外れのサクラの花を見ることがありますが、その多くはタカネザクラです。またタカネザクラの変種チシマザクラは植栽されることもあり、小樽では手宮公園に大きな木があります。
白い花のミヤマザクラやカスミザクラは華やかなサクラのイメージとは少し違う樹木ですが、緑が美しい6月の森の中に咲く姿は清楚で神秘的な雰囲気があります。