ナップランド
かつて、市内の小学校でナップランドを販売していた、小樽カバン・袋物組合の資料によれば昭和45(1970)年ころに、国道5号をはさんだ校区を持つ学校(一説では朝里小学校)のPTAから、低学年児童用に軽くて丈夫なカバンの製作依頼があり、市内のカバン商が開発したものです。
当時、小樽では道路事情などもあり、児童・生徒の交通事故防止が課題となっていました。特に低学年児童にとって当時の革製ランドセルは重たいもので、体力的負担があったこと、さらには保護者にとっても高級化が進むランドセル購入が経済的な負担であったことも要因にあったといわれています。
さらに、当館の調査では昭和44(1969)年にも長橋小学校で同様の事情から、同じような試みがされ、入学説明会で写真のようなナップザックをすすめられたという記録があります。寄贈者のお話では「2~3年間は長橋小の新入生はほとんどこれを使った」ということです。この「プロトタイプ」のかばんはその後、ナップランドの普及により姿を消します。
しかし、ランドセルからナップランドへの移行は時間が必要であったようで、昭和46年の写真ではランドセルが主体で、ナップランド一期生が6年になった昭和51年の写真ではじめてその使用例を確認できます。
また、初期のナップランド(写真は昭和61年製)は現在よりもリュックに近い形状となっていました。
なお、この1970年代後半から80年代にかけて、全国各地で同じような通学カバンが製作されています。有名なものでは京都・滋賀の一部で使用されている「ランリック」があります。製造元のHPでは昭和43年に完成、となっています。また、東北や中国地方でも使用されているという情報がありますが、未確認です。
なお、現在はバッグのアカイシ、バッグのムラタの二店舗で扱っています(パンフレットはバッグのアカイシのもの)。デザインや色が二社で特色があり、ときおりテレビなどで紹介されています。