おうちでおたる | 2021.12.10

小樽百景~稲垣日誌

小樽市総合博物館Facebookより

稲垣日誌

『稲垣日誌』は、明治36(1903)年から長く小樽区稲穂高等小学校校長を務めた、稲垣益穂(1858‐1935)が書き記した全55巻の日記です。日記に記録された期間は明治29(1896)年から昭和10(1935)年の約40年間に渡り、この間ほぼ毎日記録されています。

稲垣が小樽に赴任した明治36年は、まさに小樽の黄金期の始まりで、激しく移り行く小樽の社会、風俗などが細かく記録されています。とにかく好奇心旺盛な方であったようで、小樽で起きた様々な事柄について、時にはイラストを添えて記録しています。

いわゆる「同時代史料」として極めて貴重であるだけではなく、公的な記録に抜け落ちた「市井の人々の暮らし」が描写されている点が特に高い評価を受けています。『稲垣日誌』は現在、ボランティアの協力を受け第36巻(大正13年)まで、活字化が終了しています。専門的なテクニックが必要な「西川家文書」と異なり、どなたでもお使いいただける、小樽のもう一つの歴史書といえます。

日誌のなかを見てみよう 

例えば、高島地区に伝えられていた七夕の山車については「今日は旧暦の七夕であるから、市中の様子を見ようと思うて薄暮から花園町へ散歩した。異形の行灯をとぼして市中をあるき廻り、各戸に入りて「今年ヤ豊年七夕祭リ云々」と節曰く謡ひながら舞ひこむと、家によりては門前払もするが家によると蝋燭などを与へる。」というローソクもらいなどの風習とともに紹介しています。

「小樽でカレーはいつから食べられていたのか」「野球はいつから」など、往時の小樽の姿を知ることができる史料です。なお、活字化された『稲垣日誌』は総合博物館、図書館で閲覧が可能なほか、ご希望の方には実費で頒布もしています。

小樽市総合博物館

1956年創立。小樽の歴史と自然を紹介する運河館、鉄道と科学を紹介する本館があります。様々な企画展や講座、蒸気機関車の動態保存などの体験もできます。   【小樽市総合博物館】 ▶本館 047-0041 北海道小樽市手宮1-3-6 電話 0134-33-2523 ▶運河館 047-0031 北海道小樽市色内2-1-20 電話 0134-22-1258  ■HP→https://www.city.otaru.lg.jp/simin/sisetu/museum/ ■FB→https://www.facebook.com/otaru.museum/ ■mail→museum@city.otaru.lg.jp

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