おうちでおたる | 2021.11.25

小樽百景~小町湯

小樽市総合博物館Facebookより

小町湯

信香町の銭湯「小町湯」が、2021年10月24日をもって閉店しました。ご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、明治15(1882)年創業の小町湯は、様々な研究者によって「現存する道内最古の銭湯」とされています。

現在の建物は少なくとも昭和初期の建築。内部も含めほとんど往時の姿をのこしている

当館では昭和初期の動画フィルムを寄贈いただいています。小町湯の脱衣場、男湯の内部を撮影したもので、この動画自体、全国的にも貴重なものです。

明治10年ころの市街地。現在の信香町周辺。中央下、丁字路に「カネサ湯屋」の文字が見える

お店の伝承では明治15年創業ですが、当館所蔵の明治10年ころの絵図にはすでにこの近くで「湯屋」が開業しています。当館では小町湯の前身ではないかと推定しています。

蕎麦屋「三〼」 

1977年撮影。三〼。右側の洋館部分は現存

小町湯の正面には「三〼」の文字がみえます。小町湯さんは蕎麦屋「三〼」も経営され、現在蕎麦屋の家屋は、北海道開拓の村に移築保存され、現地には洋館部分が残されています。

現在、小樽市内の銭湯は5軒 

ほんの20年前、小樽の街の特徴は「餅屋・銭湯・市場」の多さでした。銭湯についてはかつては50件以上が営業され、それが次第に減少していった平成16(2004)年に小樽市博物館では特別展で市内の銭湯を取り上げました。その時は市内で27軒の銭湯が営業されていました。小町湯さんの閉店により、市内の銭湯は5軒となります。

銭湯独自の建造物も貴重ですが、140年の歴史が途絶えることはなんとも忸怩たる思いです。「指定」などの文化財以上に、この町の魅力となっていたものが消えていく現状で、博物館がまったく無力であることを突き付けられた気持ちです。

小樽市総合博物館

1956年創立。小樽の歴史と自然を紹介する運河館、鉄道と科学を紹介する本館があります。様々な企画展や講座、蒸気機関車の動態保存などの体験もできます。   【小樽市総合博物館】 ▶本館 047-0041 北海道小樽市手宮1-3-6 電話 0134-33-2523 ▶運河館 047-0031 北海道小樽市色内2-1-20 電話 0134-22-1258  ■HP→https://www.city.otaru.lg.jp/simin/sisetu/museum/ ■FB→https://www.facebook.com/otaru.museum/ ■mail→museum@city.otaru.lg.jp

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