完成時の小樽運河は何メートル?
本日は、レファレンス(調べもののお手伝い)のお悩み紹介です。問いは、ズバリ「完成したての小樽運河の長さは、正確には何メートルなのでしょうか?」です。
小樽運河の完成時の長さ
一見、単純そうな質問についても、意外とすっきり答えられないのが現状です。大体の結論としては「大正12〈1923〉年の第一期埋立工事(この際に誕生したのが現在、観光地となっている「小樽運河」と呼ばれる部分)の完了時には、約1,300mです。」と答えるのが最も無難そうです。

文献から読み解く
まず、後世にまとめられた文献をみると、1,314m(渡辺悌之助『小樽運河史』1979年)、1,324m(『小樽築港100年のあゆみ』小樽開発建設部、1996年)などと、長さがマチマチです。それに加え、当時の資料をみると、最も信頼のおけそうな運河完成直後にまとめられた『小樽港湾修築誌』(大正13年)には、明示されていません(前掲の渡辺氏の数値はここに記載される埋立面積と運河の幅から産出したとのこと)。
ほかに『小樽商工名録』(大正15年版)には、「七百五十間の運河を存置し」とあり、一間を1.82mとして計算すると、1,365mです。あるいは『小樽港に関する調査書』(昭和3年と7年版)をみると、「市街地と沿岸との間に長七百三十五間(中略)の運河」とあり、同じく計算すると、約1,338mとなります。もう一点だけ、『小樽の港湾と経済』(昭和12年)によると、「1,323米(m)」とあります。
やはり全体的に、1,300m強というのが、おおまかな答えとなりそうです。根本的にこうした数値がどのように産出されているのか、明示されておりませんので、検証することも困難なのです。

現在の長さ
これ以上は、長くなるのでやめておきますが、現在の「小樽運河」の長さは、小樽市のHPをみると、1,140mとあります。
ここでは、完成時の長さに焦点をしぼりました。全長が縮小する経過などについては、また別の機会に譲りたいと思います。