チシマキタヨコバイ
毎年この季節に会いたくなる昆虫がいます。
チシマキタヨコバイという小型のセミのような姿の昆虫です。
体長は6 mmほど。漆塗りのようなつやのある黒い体に、レモンイエローの短いはね、先端がぽつんと黒いアンバランスに長い脚。小さいながら、なかなか印象的な外見の虫です。
いつ出会える?
6月中旬から下旬にかけてのごく短い期間、オニシモツケという植物の上で見ることができます。
この昆虫は世界でも北海道と周辺の島(国後島)にしか生息しない固有種です。北海道にすむ生物は大陸と共通のものが多く、固有種と呼べるものは実はあまり多くありません。またチシマキタヨコバイは他に似たもののない独特な特徴を多く備えていて、北海道で独自路線的な進化を遂げた数少ない生物の一例だと考えられます。
小樽ではどこで出会える?
個性的な虫にもかかわらず、専門家の他にはほとんど存在を知られていないため、道内での生息状況はあまりよくわかっていません。しかし小樽近郊では多くの生息地が見つかっていて、特に天狗山は多産地の一つといえます。ゲレンデの一角にあるオニシモツケの群落はとっておきのポイントで、今年もたくさんの成虫を観察することができました。
北海道の自然の奥深さや進化の不思議さを感じさせてくれる生き物が、街のすぐ近くで見られるのは嬉しいことです。最近、急激に変わりつつある小樽の自然。いつまでもこんな魅力的な生き物に会えることを願わずにはいられません。