おうちでおたる | 2022.11.15

小樽百景~モースが見た神居古潭

小樽市総合博物館Facebookより

モースが見た神居古潭

エドワード・モースの小樽についての記録は原文で、わずか20ページ足らずですが、小樽が商業都市として発展する直前の、いわば「小樽の原風景」を描いた記録です。

『Japan day by day』より「カマコタン」
『Japan day by day』より「カマコタン」

モースは神威古潭をみて「Such beautiful preclpices we passed, one of which a broad cascade fell. 」(私たちはとても美しい崖を通り過ぎ、その一つには見事な滝があった。)と記してあり、現在は水量が減り、「見事」というほどではなくなっていますが、義経隧道近くに滝が現存しています。

明治30年ころ 張碓 奥山コレクション
明治30年ころ 張碓 奥山コレクション

さらに「Such chances for an artsistI have not seen elsewhere in the country」(画家が作品を作る機会にこれほど恵まれた場所は、私は日本で見たことがない)と、絶賛しています。

神威古潭については、安政4(1857)年に長岡藩士、森一馬によって記録された『罕有日記』では「此岬下を行事の人を見るに騫崩れたる岩角を襷伝ひ或は匍匐して獣行す。恐るべきの難所なり。」とあります。「獣行」とは四つん這いになって進むことで、這って進まなければならない場所と記し、明治4(1871)年にここを通過した鵙目貫一郎(小樽郡教育所初代教授)は「猿攀匍匐」(えんはんほふく:猿が四つん這いになってのぼるような厳しい崖)と、その危険な様子を描いていますが、モースはその美しさに目を向けている点は興味深いです。

銭函のスケッチ  

『Japan day by day』より「ゼネバコ」
『Japan day by day』より「ゼネバコ」

ちなみにモースはそのあとに、銭函の町の様子もスケッチしています。これは「銭函を描いた最初の絵」と考えています。

小樽市総合博物館

1956年創立。小樽の歴史と自然を紹介する運河館、鉄道と科学を紹介する本館があります。様々な企画展や講座、蒸気機関車の動態保存などの体験もできます。   【小樽市総合博物館】 ▶本館 047-0041 北海道小樽市手宮1-3-6 電話 0134-33-2523 ▶運河館 047-0031 北海道小樽市色内2-1-20 電話 0134-22-1258  ■HP→https://www.city.otaru.lg.jp/simin/sisetu/museum/ ■FB→https://www.facebook.com/otaru.museum/ ■mail→museum@city.otaru.lg.jp

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