トワダオオカ
小樽の野山で様々な生物に出会いましたが、印象に残っているものの一つが、奥沢水源地で2022年7月に採集したトワダオオカという昆虫です。
トワダオオカ(十和田大蚊)は日本最大の蚊で、体長は最大で13 mm、普通の蚊のほぼ倍の大きさになります。
血を吸わない蚊
こんな大きな蚊に血を吸われたらとても痛そうですが、実は、この蚊には吸血の習性が無く、蝶のように花の蜜を栄養源にすることが知られています。
幼虫時代は大きな木の樹洞(うろ)に溜まった水の中で、他種の蚊の幼虫(ボウフラ)を捕食して育ちます。樹洞ができるような古い大木のある豊かな森にしかすまないため、数が少なく、北海道を含めた14の都道府県でレッドリスト(絶滅のおそれのある生物のリスト)の掲載種になっています。
奥沢水源地では20年ほど前に一度採集したことがありましたが、その後なかなか出会う機会はありませんでした。水源地の森も以前よりずいぶん虫の姿が少なくなったと感じていますが、このような希少な昆虫が今でも世代を繋いでいることが分かり、とても嬉しく思いました。
美しい鱗片
トワダオオカは何よりその大きさが目を引きますが、美しさも蚊の仲間としては特別なものです。
体表を覆う瑠璃色と銀色の鱗片は、顕微鏡で拡大するとまるで宝石のようです。