おうちでおたる | 2023.11.05

小樽百景~最盛期の運河

小樽市総合博物館Facebookより

最盛期の運河

大正12(1923)年12月27日、市営(区営)埋立工事の完了届が道庁に受理されます。このころの南浜町周辺の様子が『稲垣日誌』第33巻に描かれています。

「序に浜町から埋立地に出て、富岡町を散歩した。僅に見ない間に、変化してをるには驚いた。三菱銀行、第一銀行、拓殖銀行の建築も、着々進行してをる。第一火防線突当りに浅草橋が架ってをる。(中略)そして移住民休憩所の前あたりは、運河になると見えて、堀崩してをる。埋立における変化は随分甚しい。」(大正11(1922)年9月1日)

この「運河完成」を記念するイベントは翌年、誕生したばかりの北海製罐を会場に実施しました。ただし「運河完成」ではなく防波堤を含めた「小樽港修築工事」竣工を祝うものでした。政府からは当時の内務大臣、若槻禮次郎が出席しました。

祝辞の中で若槻は「北海道拓殖事業ノ進展ト共ニ長足ノ発達ヲ遂ゲ(中略)天与ノ良港タルヲ加ヘ、莫大ナル国幣ト市費ヲ投ジテ人工的工事ヲ施シ(中略)本港ノ繁栄ハ更ニ一層観ルベキモノアルベシ」と述べ、防波堤、「運河」などの小樽港全体の機能が改良され、さらなる発展を期待されています。

小樽港の発展  

実際、完成の3年後の写真からはすでに人工島、すなわり運河の海側には石造、RCの倉庫が次々と建設されている状況がうかがえます。

大正3(1914)年の着工時には、入港船数4,239隻、総トン数4,897,587トンであったものが、完成3年後の大正15(1926)年には入港船数5,982隻、総トン数11,132,484トンへと飛躍的に増加しています。

ただ、これは「運河」だけの効果ではなく、小樽港の飛躍期であったためであり、そのため、完成後すぐに「埠頭建設」の声が上がります。

小樽市総合博物館

1956年創立。小樽の歴史と自然を紹介する運河館、鉄道と科学を紹介する本館があります。様々な企画展や講座、蒸気機関車の動態保存などの体験もできます。   【小樽市総合博物館】 ▶本館 047-0041 北海道小樽市手宮1-3-6 電話 0134-33-2523 ▶運河館 047-0031 北海道小樽市色内2-1-20 電話 0134-22-1258  ■HP→https://www.city.otaru.lg.jp/simin/sisetu/museum/ ■FB→https://www.facebook.com/otaru.museum/ ■mail→museum@city.otaru.lg.jp

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