小樽市公会堂
この建物は皇太子(のちの大正天皇)の行啓に際してのご宿泊所として建てられ、後に公会堂として使用されてきました。竣工当初は現在の市民会館がある場所に位置し、昭和35年に市民会館を建てるために約50mほど離れた現在の位置へ移築されました。その際に本館と御殿の2棟が並列に建っていたものが、L字型の配置へ変更されています。
しかし、明治44年に完成した直後の写真と比較してみると分かるように、小樽市公会堂の建物自体は当時の外観が現在にも残されています。
設計指導は、片山東熊(東京にある赤坂離宮の設計者であり、辰野金吾や旧日本郵船小樽支店の設計者佐立七次郎の同期生)の部下でもあった、宮内省の木子幸三郎です。
瓦屋根改修工事の現場にお邪魔しました!
現在に至るまでに瓦屋根の修繕は一部されているようですが、竣工当初の瓦も残っているのではないかと考え、今回博物館職員で見学させていただきました。
瓦にはよく見ると製作された窯元の印が施されており、一か所ではなく数か所でつくられた瓦が用いられている様子がみられました。
施工方法としては乾式工法が採用されており、瓦の下には下地材となる角材を水平に通し、その角材に釘や針金で瓦が固定されていました。
棟飾り
さらに、棟飾りはハート型のような「猪目文」や雲といった柔らかな意匠が施されており、美しくかつ重厚さも感じられました。
今回はいくつかの瓦を選んで保管するために訪れましたが、引き続き竣工当初の瓦の有無を調査していく予定です。また、屋根改修工事を経た後、公会堂の建物で再び皆さんが過ごされる様子をみられるのも楽しみです。