おうちでおたる | 2024.10.20

小樽百景~小樽運河100周年の日

小樽市総合博物館Facebookより

小樽運河100周年の日

令和6(2024)年8月25日は「小樽運河」100周年の日でした。

と書くと、「それは昨年の話だろう」と思われる方も多いかと思います。確かに「小樽市営(区営)埋立工事」の完了届が道庁に受理されたのは、大正12(1923)年の12月27日です。しかし、この日は御用納め直前の日であり、この提出が実際の工事完了ではなく、役所間の書類処理の一環であったことがうかがえます。

そのためか、この大正12年12月の『小樽新聞』には関連記事は一つだけです。小さな囲み記事で「小樽港修築工事完成式典は来夏開催」というものです。埋立工事(「運河建設工事」という名称ではない)を含む、小樽港全体の第一期改良工事の完成式典として大正13(1924)年夏に開催されるという記事のみで、大正12年末の運河は淡々と荷役作業を行う人々でにぎわっていました。

小樽港修築工事完成式典  

一方、翌大正13(1924)年8月に開催された「完成式典」についてはひと月前から、盛んに新聞に歓迎記事が書かれています。完成間近の、すでにその威容を誇る存在であった、北海製缶第三倉庫を会場に、内務大臣 若槻禮次郎を招いての、港湾都市小樽の威信をかけた式典となっていました。

稲穂小学校校長の日記、『稲垣日誌』には「港湾埋立落成式挙行の当日であるので、碇泊の船舶は悉く満艦飾を施して居る。一方には二隻の駆逐艦も碇泊して居る。挙式の時間になると、各汽船一斉に汽笛を鳴して祝意を表した。中々の壮観であった。それから埋立地におりて、造船の様子など見物したが、(略)。今夜、花火大会を見物する準備である。」(第37巻:大正13年8月25日)とあります。小樽新聞も12面のうち10面に関係記事を載せるなど、小樽市をあげての一大イベントであったことがうかがえます。

北海製罐の資料では、第3倉庫の竣工は大正13年12月となっていますので、未完成の倉庫を使ったことになるのですが、使用した会場は1階部分ですので、2階以上の階で工事が続いていたのか、もしくはこれも実質的な工事は完了し、書類上の整理で12月竣工となったのかはまだ判然としません。小樽新聞などをみても、「工事中の」という表現は見当たりませんので、後者の状態だったのかもしれません。

小樽市総合博物館

1956年創立。小樽の歴史と自然を紹介する運河館、鉄道と科学を紹介する本館があります。様々な企画展や講座、蒸気機関車の動態保存などの体験もできます。   【小樽市総合博物館】 ▶本館 047-0041 北海道小樽市手宮1-3-6 電話 0134-33-2523 ▶運河館 047-0031 北海道小樽市色内2-1-20 電話 0134-22-1258  ■HP→https://www.city.otaru.lg.jp/simin/sisetu/museum/ ■FB→https://www.facebook.com/otaru.museum/ ■mail→museum@city.otaru.lg.jp

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