人孔
国指定重要文化財「旧日本郵船株式会社小樽支店」の修復工事は最終段階を迎えています。総合博物館では、来春の公開開始に備え、展示準備を開始しています。そこで、工事の合間をぬって写真撮影をしてきました。
といっても、みなさんがご存じの郵船の写真ではありません。左のくぐり戸を通ってたどり着く、裏側の写真です。
ここは金庫室の真裏に当たります。鉄格子のはまった窓のようなものが見えますが、この写真を撮影しにいきました。これは重厚な金庫室の扉が、災害等であかなくなったとき、または何らかの事情で職員が閉じ込められた時の非常口です。
「人孔(じんこう)」またはマンホール扉と呼ばれる装置で、現在も「非常口扉」の名称で販売されています。
人孔を見に行こう!
この人孔は郵船独自のものではなく、市内に残された歴史的な銀行建築ではまだ多く残っています。たとえば「運河ターミナル」となっている旧三菱銀行小樽支店や旧安田銀行小樽支店の人孔は金庫上部につくタイプでした。日銀旧小樽支店は横に、旧三井、旧第一銀行は隣接する部屋に抜けるように設置されていました。
郵船の場合も裏に抜けるように設置していますが、裏からは結構高い位置になります。郵船の裏側については、来春以降も非公開エリアになる予定ですので、一般の方にはご覧いただけない施設となりますが、市内の銀行建築を訪問される際は、人孔にもご注目ください。