日本郵船株式会社小樽支店の見どころ紹介
2020年から実施してきた、重要文化財 日本郵船株式会社小樽支店の保存修理工事も最終段階になりました。2025年4月の再開館以後、小樽市総合博物館が所管する施設となります。

この建物は明治39(1906)年、佐立七次郎の設計によって建てられた、明治期の近代建築を代表する作品です。再開館後の展示方針は、この優美で重厚な建物そのものをじっくりと鑑賞していただこう、というものです。
見どころ紹介
基本的には海運会社の営業所、いわばオフィスなのですが、細部にわたる部位まで佐立によるデザインが行われており、そのすべてを見ていただきたいのですが、見どころが多すぎて悩んでいます。
天井の漆喰飾り
2階の貴賓室や会議室の壁に使われている「金唐革紙」は有名ですが、おいでになったときは、天井にもご注目ください。復元制作されたシャンデリアの付け根には漆喰飾りがついているのですが、これも各部屋ごとに違うデザインとなっています。

ガラス窓の影
個人的におすすめなのは、佐立のデザインではないのですが、夕方、二階廊下に差し込む夕陽がうつすガラス窓の影です。

郵船支店のガラスは圧延の板ガラス以前の手吹きの円筒形のガラスを切り開いて伸ばしたガラスを使っています。それが見事な模様となって壁にうつるのです。時間が限られますが、ぜひこれもご覧いただきたいものです。
樺太線小樽及各地輸出目録
金庫室においでの時は、内部の左奥の棚に残された張り紙にご注目ください。「樺太線小樽及各地輸出目録」と書かれた紙です。

日本郵船が小樽支店を重視していた大きな理由の一つに、当時小樽の商圏であった樺太への航路があった点です。それを物語る張り紙です。