明治のパンデミック―『小樽港史』より
小樽の歴史を調べるのに便利な書籍(高畑宜一著『小樽港史』明治32(1899)年発行)から、流行り病の様子を紹介します。
本書には、とりわけ江戸後期から明治期の小樽の様子が詳しく書かれています。
コレラ(虎列刺)の流行
その中から「明治のパンデミック」ともいえる「コレラ(虎列刺)の流行」について見てみましょう。明治12年及び19年の2回流行したことがわかります。
明治12年の流行は、忍路(現:小樽市西部)への船の来航によってもたらされたとあります。消毒予防の効果か、小樽郡(現:於古発〈オコバチ〉川から銭函地区まで)では感染者が出なかったとのことです。
明治19年の流行は、12年と同様、船の来航がはじまりであったようで、そののち小樽周辺にまん延していったようです。その際、港や勝納川に患者のおう吐物を捨てたため、海産物の漁獲及び販売が禁止されたともあります。
歴史を振り返ると、現代のコロナ禍のような事態は何度も繰り返されてきたことがわかります。今だからこそ、歴史から学ぶべきことがあるのかもしれません。
なお『小樽港史』は、国立国会図書館近代デジタルライブラリーでもご覧になれます。キーワードに「小樽港史」と打ち込んでください。