子どもたちが残した豊倉の自然の記録
小樽市立豊倉小学校は、山間の豊かな自然に囲まれた小規模校で、恵まれた環境を生かした特色ある教育活動を続けてきた学校でした。残念ながら、この3月に閉校式が行われ、107年の長い歴史に幕が閉じられました。
豊倉小学校との共同調査
当館と豊倉小学校は、平成13年から17年まで、総合的な学習の時間の活動として、学校周辺に生息する昆虫の調査を共同で行いました。子どもたちの手によって確認された昆虫は300種に上り、多くの素晴らしい成果が得られました。調査から得られた知見(特に山間の小河川にすむ生物について)はその後、運河館の常設展や、小学校の副読本の内容などにも生かされました。子どもたちと、そして先生方と毎週のように野山を駆け回った5年間は、私個人にとっても忘れられない大切な思い出になっています。
当時いつも先生と話し合っていたのは、単なる理科の学習に終わらず、身近にあるかけがえのない自然を知ることで、地域を思う心を育んでもらいたいということでした。最初の年の卒業生はもう30歳になっているはずですが、豊倉の美しい自然の中での体験は今でも心に残ってくれているでしょうか。そうであれば本当に嬉しいと思います。
受け継がれる記録
学校は役割を終えてしまいましたが、子どもたちが残した豊倉の自然の記録は、これからも博物館で受け継がれていきます。数十年後、更に価値が高まる貴重な郷土資料になるはずです。